産業廃棄物の種類一覧!全20種の分類と具体例を解説
2026-01-26
企業の事業活動に伴い発生する「産業廃棄物」。これらは法律に則って適正に処理する義務があり、その第一歩は「種類」を正確に理解することから始まります。しかし、その種類は20にも及び、分類が複雑で判断に迷う担当者の方も少なくありません。不適切な処理は、厳しい罰則の対象となるだけでなく、企業の社会的信用を大きく損なうリスクも伴います。この記事では、廃棄物処理法で定められた産業廃棄物の全20種類について、一覧表や具体例を交えながら、誰にでも分かりやすく解説します。自社で発生する廃棄物がどれに該当するのかを明確にし、適正な処理と管理を実現するための一助としてください。
産業廃棄物とは?法律上の定義を解説
産業廃棄物とは、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃棄物処理法)で定められた20種類のものを指します。これには、製造業や建設業といった特定の業種から出るものだけでなく、オフィスや店舗など、あらゆる事業活動から出る廃プラスチック類なども含まれます。法律で定められているため、排出事業者は自らの責任において、適正に処理することが義務付けられています。
一般廃棄物との明確な違い
廃棄物は大きく「産業廃棄物」と「一般廃棄物」に分けられます。この二つの最も大きな違いは、排出される過程にあります。産業廃棄物が事業活動によって生じるのに対し、一般廃棄物は主に家庭の日常生活から出るごみを指します。ただし、事業活動から出たごみであっても、産業廃棄物の20種類に該当しないもの(例:飲食店から出る生ごみ、オフィスから出る紙くず)は「事業系一般廃棄物」として扱われます。
項目 | 産業廃棄物 | 一般廃棄物 |
排出者 | 事業者 | 主に家庭(一部、事業者) |
発生源 | 事業活動全般 | 日常生活 |
具体例 | 廃プラスチック類、金属くず、汚泥、がれき類など法律で定める20種類 | 生ごみ、紙くず、衣類など |
処理責任 | 排出事業者 | 市町村 |
排出事業者が負うべき処理責任
産業廃棄物の処理責任は、それを排出した事業者(排出事業者)にあります。これは廃棄物処理法の基本原則であり、事業者は自ら処理するか、都道府県知事などから許可を得た産業廃棄物処理業者に委託しなければなりません。処理を委託する場合でも、最終的に適正に処理されたかを確認する責任は排出事業者に残ります。その管理のために「マニフェスト(産業廃棄物管理票)」という伝票制度が義務付けられており、不法投棄などの不適正処理があった場合は、排出事業者も罰則の対象となります。
【一覧表】産業廃棄物全20種類の分類
産業廃棄物は、排出される業種が限定されるか否かによって、大きく2つに分類されます。ここでは、廃棄物処理法で定められた全20種類を一覧でご紹介します。
あらゆる事業活動に伴う産業廃棄物(12種類)
業種を問わず、どのような事業活動でも発生する可能性がある産業廃棄物です。オフィスの移転や工場の機械入れ替えなど、身近な場面でも発生します。
種類 | 具体例 |
| 燃え殻 | 石炭がら、焼却炉の残灰、炉清掃排出物 |
| 汚泥 | 工場排水処理後の泥、各種製造工程で出る泥状のもの、建設工事で出る泥水 |
| 廃油 | 鉱物性油、動植物性油、潤滑油、洗浄油、廃溶剤 |
| 廃酸 | 廃硫酸、廃塩酸、写真定着廃液などの酸性廃液 |
| 廃アルカリ | 廃ソーダ液、金属せっけん廃液、写真現像廃液などのアルカリ性廃液 |
| 廃プラスチック類 | 合成樹脂くず、合成繊維くず、合成ゴムくず(廃タイヤなど) |
| ゴムくず | 天然ゴムくず |
| 金属くず | 鉄鋼・非鉄金属の破片、研磨くず、切削くず |
ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず | 廃ガラス製品、廃レンガ、廃陶磁器、セメント製造工程で出るくず |
| 鉱さい | 高炉・転炉などから出るかす、鋳物砂 |
| がれき類 | 工作物の新築、改築または除去に伴って生じたコンクリート破片、アスファルト破片など |
| ばいじん | 廃棄物焼却施設やボイラーなどから排出される集じん機で集めたすす |
特定の事業活動に伴う産業廃棄物(7種類)
特定の業種の事業活動から排出された場合にのみ、産業廃棄物として扱われるものです。同じ品目でも、対象外の業種から出れば事業系一般廃棄物となります。
種類 | 対象業種と具体例 |
紙くず | 建設業(新築・改築・除去)、パルプ・紙・紙加工品製造業、新聞業、出版業などから出る紙くず |
木くず | 建設業、木材・木製品製造業、家具製造業、輸入木材卸売業などから出る木材片、おがくず |
繊維くず | 建設業、繊維工業(衣服製造を除く)から出る木綿くず、羊毛くずなどの天然繊維くず |
動植物性残さ | 食料品製造業、医薬品製造業、香料製造業から出る原料由来の固形状不要物(野菜くず、魚のアラなど) |
動物系固形不要物 | と畜場、食鳥処理場で処理した獣畜や食鳥に係る固形状の不要物 |
動物のふん尿 | 畜産農業から排出される牛、馬、豚、鶏などのふん尿 |
動物の死体 | 畜産農業から排出される牛、馬、豚、鶏などの死体 |
処分するために処理された産業廃棄物
上記19種類の産業廃棄物や、輸入された廃棄物を処分するために処理したもので、元の産業廃棄物とは性状が異なるものを指します。例えば、19種類の産業廃棄物をコンクリート固化したものなどがこれに該当し、第20番目の産業廃棄物として分類されます。
【具体例】身近な産業廃棄物の種類と判断ポイント
日常的な事業活動でも排出されやすく、特に判断に迷いやすい種類の産業廃棄物について、具体的なポイントを解説します。
廃プラスチック類
廃プラスチック類は、あらゆる事業活動から排出される固形状および液状の合成高分子化合物です。製品の製造過程で出るプラスチックくず、使用済みのプラスチック製品、梱包材として使われたフィルムや発泡スチロールなどが含まれます。業種指定がないため、オフィスから出るプラスチック製の事務用品やOA機器の筐体なども産業廃棄物となります。
木くず
木くずは、排出する業種によって産業廃棄物になるか、事業系一般廃棄物になるかが変わるため注意が必要です。建設業者が建物の解体で出した木材は産業廃棄物ですが、運送業者が荷物の輸送に使った木製パレットを廃棄する場合は、事業系一般廃棄物となります(ただし、貨物の流通のために使用したパレットは産業廃棄物)。このように、発生源となる事業内容の確認が不可欠です。
排出事業者(業種) | 品目 | 廃棄物の種類 |
建設業者 | 解体家屋の木材 | 産業廃棄物(木くず) |
家具製造業者 | 家具の端材 | 産業廃棄物(木くず) |
運送業者 | 破損した木製パレット | 産業廃棄物(木くず) |
小売業者 | 商品の木製梱包箱 | 事業系一般廃棄物 |
金属くず
金属くずも、鉄や非鉄金属を問わず、事業活動から排出されるものはすべて産業廃棄物となります。工場の機械から出る切削くずや研磨くず、プレス加工で出る打ち抜きかす、スチール製の机やロッカーなどの什器、空き缶などが該当します。複数の素材が混合している製品(例:機械類)を廃棄する場合は、それぞれの素材に分別して処理することが原則です。
ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず
この分類は、建設工事以外から排出されるものが対象です。例えば、飲料メーカーの工場で廃棄されるガラス瓶、食器メーカーから出る陶磁器のくず、ガラス製品工場で出るガラスの破片などが該当します。建設現場や解体工事から出たコンクリートブロックやガラスの破片は、「がれき類」に分類されるため、発生状況による区別が重要です。
がれき類
がれき類は、工作物の新築、改築または除去(解体)といった建設工事によって生じたコンクリート破片、アスファルト破片、レンガ破片などを指します。建設現場から発生した廃棄物という点が、前述の「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」との大きな違いです。道路工事で発生するアスファルトがらも、がれき類に分類されます。
特別な注意が必要な「特別管理産業廃棄物」とは?
産業廃棄物の中でも、爆発性、毒性、感染性など人の健康や生活環境に被害を生じさせるおそれがあるものを「特別管理産業廃棄物」と呼びます。これらは、通常の産業廃棄物よりも厳格な基準で管理・処理することが法律で定められています。
特別管理産業廃棄物の種類と具体例
特別管理産業廃棄物には、特定の施設から排出される廃油や廃酸、感染性病原体が含まれる医療機関からの廃棄物などがあります。
種類 | 具体例 |
廃油 | 揮発油類、灯油類、軽油類などの引火性廃油 |
廃酸・廃アルカリ | pH2.0以下の廃酸、pH12.5以上の廃アルカリ |
感染性産業廃棄物 | 血液が付着した注射針、ガーゼ、実験・検査で使用した器具など |
特定有害産業廃棄物 | 廃PCB、PCB汚染物、廃石綿(アスベスト)、水銀、鉛、六価クロムなどを基準値を超えて含むもの |
通常の産業廃棄物との管理上の違い
特別管理産業廃棄物を排出する事業者は、事業場ごとに「特別管理産業廃棄物管理責任者」を設置する義務があります。また、処理を委託する際は、特別管理産業廃棄物専門の収集運搬・処分業許可を持つ業者に委託し、専用のマニフェストを使用して管理しなければなりません。保管基準もより厳しく、他の廃棄物と混合しないように仕切りを設けるなどの措置が必要です。
産業廃棄物の種類判断に迷った場合の相談先
産業廃棄物の分類は複雑で、専門的な知識が必要な場合もあります。自社での判断に迷った場合は、そのままにせず、専門機関に相談することが重要です。
行政機関(都道府県・政令市)への問い合わせ
産業廃棄物行政を管轄しているのは、事業所の所在地を管轄する都道府県または政令指定都市です。これらの自治体のウェブサイトには、産業廃棄物に関する詳しい手引きやQ&Aが掲載されていることが多く、担当部署に直接電話などで問い合わせることも可能です。公的な見解が得られるため、最も確実な相談先と言えます。
許可を持つ処理業者への相談
実際に処理を委託する可能性のある、産業廃棄物処理業者に相談するのも有効な方法です。処理業者は廃棄物処理のプロフェッショナルであり、多種多様な廃棄物の取り扱い実績から、適切なアドバイスを提供してくれます。契約前の段階でも相談に応じてくれる業者は多いので、複数の業者に意見を聞いてみるのも良いでしょう。
まとめ
本記事では、産業廃棄物の全20種類について、その定義から具体例、判断のポイントまでを解説しました。事業活動において廃棄物の適正な処理は、法律遵守はもちろん、企業の信頼性を保つ上でも不可欠な責務です。まずは自社の事業活動からどのような廃棄物が発生するのかを正確に把握し、この記事で解説した種類と照らし合わせてみてください。そして、少しでも判断に迷うことがあれば、必ず行政機関や専門の処理業者に確認し、確実な処理を進めることが重要です。













